お電話でのお問合せ TEL:0120-105-891

コラム

AIによる自動翻訳で、企業法務の仕事はどこまで効率化できるのか?

事業所名:桃尾・松尾・難波法律事務所
お名前:三谷 革司 弁護士

関連リンク:転載元BUSINESS LAWYERS

企業のグローバル展開が進む昨今、これまで以上に国際的な法務案件が増えていくと考えられています。すでに、業務において契約書など英語の法律文書を取り扱っている弁護士の方は多いのではないでしょうか。一方で、翻訳業務には決して少なくない時間とコストが掛かってしまうのも事実です。
今回は、英語案件を数多く手がける、桃尾・松尾・難波法律事務所のパートナー弁護士 三谷 革司氏に、英語案件の実務や翻訳業務のポイント、AI自動翻訳『T-4OO』を試用いただいた感想についてお聞きしました。

目次:
1. 企業法務の現場における英語案件の実務とは
2. 企業法務における翻訳作業のポイント
3. AI自動翻訳「T-4OO」を使ってみて

1. 企業法務の現場における英語案件の実務とは

まず、桃尾・松尾・難波法律事務所についてご紹介ください。

桃尾・松尾・難波法律事務所は、40名前後からなる中規模の法律事務所です。1989年に設立され、現在はパートナー19名と同数程度のアソシエイトで構成されています。急激に大規模化するというよりは、個々の人材育成に力を入れていこうというのが我々のモットーです。

業務は、一般企業法務を中核として、会社法に関する取締役会対応や株主総会対応なども行っています。また、国際法務に関する案件も数多く扱っています。各パートナー弁護士は基本的に、海外のロースクールに留学し、海外の事務所で研修をして資格を取得しています。国際法務にもさまざまな分野がありますが、ブランドの商標や偽物対策など知的財産分野は我々の事務所の強みのひとつですね。最近では、独占禁止法や国際仲裁関係の案件も増えてきています。

三谷先生の主な業務内容を教えてください。

一般企業法務が中心です。日常的な契約書のレビューや契約交渉対応のほか、企業法務の典型的な業務の1つとして、株主総会アドバイスがあります。なかには紛争化してしまって株主提案が行使された場合や委任状争奪合戦の対応などを行うことも多くありますね。その他には、クロスボーダー案件を含むM&A案件も対応していますね。

クロスボーダー案件も扱われているとのことですが、三谷先生の業務のうち、英語を使う必要のある案件はどれくらいありますか。

英語に触れている時間という意味では、平均すれば、英語対日本語で4対6くらいの比率になるでしょうか。時期によって変動があり、大きな海外案件があれば仕事のほとんどが英語になります。契約書の翻訳なども含めて、英語を必要とする案件は多い印象ですね。

英語を使う案件にはどういったものがありますか。

恒常的に発生するものは、大きく分けて2つあります。1つは外資系クライアントの仕事で、特に日本子会社のサポートです。日本子会社で大きな契約を締結する場合や、取引上の紛争や労災で訴訟が起こった場合などにおける対応があります。こうした場合、外資系企業においては、海外本社も関与して進めるので、海外本社へのレポーティングが必要となります。その際、実際の契約書や訴訟で提出する文書は日本語ですが、英文でそのレポートを行わなければならないので、英訳の作業が発生します。逆に、英語での検討を日本語の書類にフィードバックするため、和訳の作業が発生する場合もあります。特に、訴訟の場合だと、日本の裁判所に提出する文書は日本語ですから、大量の和訳の作業が発生することがあります。

もう1つは逆のケースで、海外における日本企業のクライアントの仕事に関するものです。この場合には、日本企業が英語の契約書で契約を締結することになりますから、英文契約の作成やレビューなどが中心となります。その際、社内検討用に日本語でサマリーを作成したり、取締役会での意思決定のために和訳を作成したりすることもあります。

日本の会社には英語が読める人と読めない人がいるでしょうから、日本語のレポートを作って報告する必要があるということですね。

そういうことです。英文契約の作成・レビューに加えて、翻訳という作業が発生するため、多くの場合、この翻訳作業に膨大な時間を必要とすることになります。

国際仲裁関係の案件も増えてきているとのことでしたが、こちらでもかなり英語を使うことになりそうですね。

はい。国際仲裁の案件においては、準拠法が日本法であっても、仲裁自体がシンガポールやロンドン、香港などで行われれば、手続では英語が用いられることがあります。日本で行われる場合でも、手続は英語で、仲裁人は英語しか読めないこともあります。そうなると、大量の日本語の文献や証拠書類をすべて英訳する必要があります。こういったケースは、今後増えてくるのではないかと思っています。

そのほかの案件でも、英語を使うケースはありますか。

独占禁止法(競争法)の案件があげられます。大きく分けると、企業結合の届出をする場合と、カルテルにより海外で訴追された場合の対応とがあります。届出の場合では、日本の取締役会決議などを英語に翻訳して海外の規制当局に提出するということがあります。訴追された場合は、現地の弁護士と連携し、社内資料を精査してカルテルをやっていないかなど、社内や取引先とのメールを全部英訳して当局への提出資料としてまとめることがあります。こうした業務が、相当数、発生しています。

桃尾・松尾・難波法律事務所 パートナー弁護士 三谷 革司氏

2. 企業法務における翻訳作業のポイント

契約書などを翻訳する際に苦労した経験や、その対応策があれば教えてください。

翻訳の問題とは少しずれてくるかもしれませんが、背後にある法律の考え方が国によって違うので、そのギャップにはよく悩みます。海外では、取引約款には「General Terms and Conditions」というようなかたちで、7−8ページくらいにわたって細かい文字で詳細に取引事項が記載されていたりしますが、これをすべて日本語に直訳して、日本でそのまま契約として使おうとすると、実情に合わず、なかなか難しい場合があります。日本では欧米と比べると、契約書で細かく条件を定めずに、契約書に書かれていないことは裁判所が補う文化です。外資系クライアントは、「このまま修正を加えずに和訳して使ってくれ」と依頼してきますからね。説明が難しい(笑)。

たとえば海外企業が日本語資料の英訳を求めてきた場合など、ルーティーンの翻訳作業が発生するかと思いますが、こういう場合、桃尾・松尾・難波法律事務所ではどのように対応されているのでしょうか。

翻訳ができるパラリーガルに相当するスタッフが担当します。分量が多いときには外部の翻訳業者や個人の方にお願いすることもありますね。翻訳の法的な部分に関して、最後に弁護士がレビューします。

外部の業者に発注する場合、法務分野に特化した業者であれば良いのですが、そうでない場合もあるかと思います。クオリティにばらつきはありませんか。

法務文書の理解度に差があるので、クオリティにはばらつきはありますね。なので、基本的には弁護士の目を入れて二重三重で最終チェックをしています。

特に、言い回しがネックとなることもあります。たとえば、日本語の法律用語で「善意の第三者」という表現がありますが、これは必ずしも「良い心を持った」という意味ではないですよね。それと同じで、たとえば不可抗力条項でよく使われる「天変地異」という英語は、「Acts of God」と表現したりしますが、その慣用句を知らないと、「神のなしえるなんとか」といった具合に訳されているのを見ることがあります。

他にも、契約書など法律分野特有の問題はありますか。

日本語でもそうですが、法律文書や契約書だと、格式張った表現が多いんです。なので、どうしてもwhichやthatのような関係代名詞が頻繁に出てきて、とても長い一文が記述されています。そうなると、文節とかかりの関係性がパズルのようになっていて、「これは権利があるのかないのか」、そういった点がわかりづらいことがあります。他にも、andやorの読み方によって大きく権利関係が変わってくるので、そういった点にも注意を払う必要がありますね。アメリカ人などネイティブの弁護士に意見を求めたりもしますが、ネイティブでも「これはどっちとも読める。ドラフティングが悪い」というような場合すらあります(笑)。

また、英語は漏れがないようにするために、4つ5つ同じような動詞や形容詞を繰り返して表現するという特徴があり、同じような単語がずらーっと書いてあったりします。たとえば、「買う」という表現ひとつでも、buy であったりpurchaseであったりacquireであったり、「譲渡」についてもassignとtransferが必ず並べられています。そう記載する背景には、「漏れがないようにすべて記載しないと、記載していないことは解釈に反映されない」という考え方が強いんです。そういった文章を直訳すると、「譲渡および譲渡」となってしまうので、工夫が必要になります。

他にも、翻訳する際に大変なポイントはありますか。

法律用語だけでなく、ファイナンスの知識や財務諸表の知識がないと翻訳できないものだと大変です。「達成主義」や「繰延税金資産」といった用語を英語で理解するには、相当の分量の文章を読みこなす必要があります。

和訳と英訳では、英訳のほうが難しい印象がありますがどうでしょうか?

実はそういうわけでもないです。英文が非常に難解な場合、英語では理解できるのだけれども上手く日本語に訳せない、適切な訳語が見当たらない、と悩むことは結構ありますね。英訳の場合には、ノンネイティヴの限界があるということは依頼する側もわかっているので、そういった意味ではやりやすいといえるかもしれません。和訳の場合には、英文の意味を正確に日本語に反映させようとしてしまう結果、同じくらいの時間が掛かっているのではないかと思います。

3. AI自動翻訳『T-4OO』を使ってみて

今回、AI自動翻訳『T-4OO』を実際に利用してみていただいたわけですが、和訳の精度についてはいかがでしたか。

和訳のクオリティが非常に高いと感じました。日本の法律の知識がなければ、特に和訳の場合、さきほど申し上げたように適切な訳語を選ぶのが非常に難しいことがあります。したがって、外部の翻訳業者に委託すると、法律用語に訳すべきところがきちんと訳されていないケースなどが多々見受けられますが、『T-4OO』では法律用語まで正確に翻訳されている印象を受けました。

さらに驚いたのは、訳文に"人間感"があるということです。従来の機械翻訳は、日本語として少しギクシャクしている感じを受けませんか?しかし『T-4OO』は、まるで日本人である人間が書いたような自然な文章になっています。

英訳についてはいかがでしたか。

英語についても、とてもスムーズに訳されていると感じました。機械翻訳特有のカチカチした雰囲気ではなく、きちんと前後の文脈を読み込んでいて、まるで人間が訳しているかのような滑らかな印象を受けます。

『T-4OO』の特徴のひとつに、非常に短時間でかなりの分量を正確に訳せてしまうという点もあげられると思います。3~4ページの資料であっても、人間が訳そうとするとそれなりに時間がかかってしまいますよね。

そうですね。翻訳中は別の作業をして、5分くらいしたら完了していましたね。

法律の知識がないとできなかったはずの翻訳業務が、AIを利用することによって、あっという間にできるようになるということは、もしかすると翻訳以外の弁護士の業務もそのうちAIが代替できるのではないか…と衝撃を受けましたね。現段階では、最終的に人間の手による固有名詞などの調整や誤訳のチェックが必要だとは思いますが、かなりの部分で効率化が進むと思います。

企業の法務部だと、どのような使い方ができると思いますか。

そうですね。これまで外注していたような通常の翻訳に使えることはもちろんですが、例えば、外国の法律事務所がニュースレターを頻繁に送ってきますが、英語だとやはり全部読むのに時間がかかってしまうので、一気に日本語にしてしまえば、より多くの人が読める可能性もあります。その他にも、企業の法務部などでは様々な活用の仕方が考えられるでしょう。翻訳の過程にかかる時間が大幅に短縮されるので、業務フローもより効率化できるのではないかと思います。

法律業界で、次にAI自動翻訳があると便利な言語はなんでしょうか。

中国語ですね。中国は当局に中国語の契約書類をすべて提出する必要がある場合があります。ほかにも、現地の法制が厳しい、たとえばインドネシアやタイなどもニーズがあると思います。これらの国の言語で書かれた文書を利用する場合、現在では現地の事務所に文書を送ってサマリー作成をお願いしています。自動翻訳があれば、このコストが削減されますよね。

AIなどの新しい技術革新によってさまざまな業務が変わっていくことについてどう思われますか。

新しい技術によって、弁護士のみならず、さまざまな業務が効率化していくことは、間違いないでしょう。今回の『T-4OO』によっても、これまで多くの時間が費やされてきた翻訳作業、英語案件が劇的に効率化すると思われます。今この瞬間がまさにそうした変革期のまっただ中にあると感じています。我々としてもこうした技術を活用して、新しいかたちの弁護士像を確立していくことが求められているのでしょうね。

(取材、構成:BUSINESS LAWYERS編集部)
(転載元はこちら:AIによる自動翻訳で、企業法務の仕事はどこまで効率化できるのか?

T-4OOはあらゆる翻訳シーンの効率化にお応えします

個人での利用を考えている方はこちら
高精度の自動翻訳「熟考」

機密情報から個人情報まで徹底管理
安心して御依頼頂ける様、Pマークを取得しております