上場企業必見!2025年義務化を踏まえ、
高まりを見せる英文開示の必要性とは

※この記事は、公開済みのコラムに新たに加筆・修正を加えております。

"東証、25年に英文開示義務化 プライム1600社対象"

2024年1月16日、日本経済新聞に掲載された記事の見出しです。 記事によると、2025年3月からプライム市場約1600社に対し重要情報の英文開示が段階的に義務づけられ、海外投資家の対日投資を強化する狙いとのことです。

上場企業の英文開示を促す、プライム市場の発足を見据えた東証の指針改定から数年。適時開示資料の英文開示率はプライム市場でも50%程度に留まる一方、 海外投資家へのアンケート調査からは、開示タイミングや内容に関する和文開示との格差、また中小企業の対応が進まないことへの根強い不満が伺えます。

リソースの確保など対応には様々な困難がある反面、資金調達を考える企業の目線では、今回の義務化の流れを汲み、いち早く英文開示の準備を進めることが有効と言えます。
本記事では、プライム市場への義務化が迫る決算情報の英文開示について、その重要性や、行う上での留意点を踏まえて解説いたします。

参考URL
“東証、25年に英文開示義務化 プライム1600社対象” 日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12CF30S4A110C2000000/
“英文開示実施状況調査集計レポート”
“英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果” 日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/disclosure-gate/survey-reports/

1.英文開示の重要性

“東証1部企業数絞り込み、3割減も 英文開示も義務化” 日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42496720V10C19A3I00000/

2019年3月15日付け日本経済新聞の記事によると、2100超ある東証1部企業の絞り込みが検討されており、新基準では四半期決算での英文開示が義務付けられるそうです。

上場企業のうち、99%以上が日本に本社を置く日本企業です。株主も、多くは国内金融機関や個人投資家で、海外投資家は3割程度に過ぎないとされています。

しかし、売買状況を見ると存在感が逆転します。日本取引所グループが公表している投資部門別売買状況のデータによると、東証1部の2019年(1月4日〜12月30日)の売買状況における海外投資家が占める割合は、総売買代金の約6割にあたる約719兆円となっています。

想像が及びもつかない金額ですが、株価形成に影響を与えるのは株式の売買を行っているかどうかですから、日本の株式市場における海外投資家の影響力の大きさがお分かりいただけるでしょう。こうした背景から、海外投資家の求める英文開示を行うことが重要であると言えます。

参考URL
“投資部門別売買状況” 日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/00-02.html

2.日本企業における英文開示の現状

英文開示が重要であるとは言え、企業毎に言い回しが異なる点や、翻訳会社を利用した英文開示にコストがかかる点など考慮すべき事が多く、一朝一夕でできる代物ではありません。

実際に日本取引所グループが公表している英文開示実施状況一覧を調べてみると、2020年2月末時点で東証1部に上場している2160社のうち、約44%にあたる960社が英文決算短信を開示しています。(開示範囲、開示時期を問わず。)

実に半数以上の東証1部上場企業が大きな影響力を持つ海外投資家が求めている決算情報を開示できていないと言えます。東証2部はさらに開示率が下がり、わずか6.2%(上場485社中30社)。マザーズでは割合は上昇し12.2%(上場314社中39社)なので、東証2部とマザーズを比較すると新興市場の方がIR情報の英文開示について積極的と見ても良さそうです。

参考URL
“英文開示実施状況一覧の公表について” 日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/20200124-01.html

3.英文開示を行う上での留意点とは

言うまでもなく、英文開示を開始した場合、業績の良し悪しを問わずそれを継続する必要があります。また、日本語での開示資料と同様で、同一の基準で継続することも重要です。例えば、以前の開示資料から訳語が変更されるだけでも、海外投資家にあらぬ誤解を与えてしまう可能性さえあるのです。語弊を恐れずに言うと、決算短信などの開示資料は財務情報の定点観測のようなもので、過去のデータの積み重ねです。

だからこそ、IR情報を日本語から英語に翻訳する場合、過去の翻訳資産をもとに翻訳することが大切です。そのため、それを利用した自動翻訳を活用して、翻訳の品質や言い回しを揃えることも効果的です。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。上場企業にとっての英文開示の重要性と、翻訳をするときの留意点がお分かりいただけたかと思います。

ロゼッタの親会社となる、東証グロース上場(2024年現在)の株式会社メタリアルでは、ロゼッタの提供する自動翻訳T-4OOT-3MTを使用し、2020年以降決算短信の日英同時開示を行っています。 企業ごとの言いまわしが多く、定型的な文書はカスタマイズ機能を提供する弊社の自動翻訳と相性抜群です。英文開示の効率化をお考えの方は、ぜひ弊社までご相談ください。

参考URL
株式会社メタリアル IR情報ページ
https://www.metareal.jp/ir/library/result.html