PDF・ワードファイルをどうやって翻訳する?
コピペを使わず簡単に翻訳する方法

(2020年11月13日更新)

海外の資料を仕事で活用する方や、海外の企業との取引がある方にとって、外国語で書かれたPDFファイルやワードファイルなどのドキュメントを日本語に翻訳しなければならない、といったケースはよくあるでしょう。

近年では、無料で使えるインターネット上の翻訳サービスでも、ある程度の文章・文書を翻訳することができます。しかし、無料の翻訳サービスならではの「翻訳の精度」や「手間」において、使いづらさを感じたことがあるという方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ファイル翻訳を行う各手法とメリット・デメリットについてご紹介します。用途に合ったベストな手法を見つけてみて下さい。

1.ファイル翻訳をするための3つの方法とは?

資料を翻訳する「ファイル翻訳」は、海外の資料から情報を得る必要がある研究開発者や、海外の企業と取引のある企業の方には欠かせない作業です。
専門的に請け負う業者に委任する場合もありますが、高頻度で翻訳を行う必要がある場合には、ITツールを活用してコストダウンを図ることが一般的です。

ITを活用した翻訳の方法には、主に以下3つの方法があります。

①ファイルに付随している翻訳機能を利用して翻訳
②無料の翻訳サイトを利用して翻訳
③オンラインのAI自動翻訳サービスを利用して翻訳

どの手法を選択するかによって翻訳精度や手順も異なるため、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

2.【ファイル翻訳の方法1】ファイル付属の翻訳機能を利用する

文書が保存されているファイルの形式にもよりますが、ワードやエクセルなどファイルを読み込むアプリケーション自体に、初めから翻訳機能が搭載されている場合もあります。

この機能を利用すれば、外部のサイトやツールを経由することなく、ファイルを開けてそのまま翻訳を行うことができるため便利です。また、文章全体だけではなく翻訳したい部分だけ選択して、翻訳機能を適用することもできます。

しかし、翻訳の仕組みはコンピュータープログラムを用いた機械翻訳であるため、不自然な言い回しや誤訳が入ってしまうことは否めません。
また、翻訳機能はアプリケーション内部に搭載されている訳ではなく、暗号化されずにブラウザを介して外部のプログラムを呼び出して行われるため、社外秘の方法を含む文章や機密文書を取り扱うのには不向きだと言えるでしょう。

2-1.ファイル付属の翻訳機能を利用するメリット・デメリット

ファイル付属の翻訳機能の概要についてご紹介しました。ここでは、この手法についてのメリット・デメリットについて解説します。

メリット①付属機能のため別途費用がかからない
外部のサイトやツールに依存せず、文章を読み込むアプリケーションに付随している機能であるため、無料で使用できることがメリットです。

メリット②全体翻訳・一部翻訳など小回りがきく
ファイル付属の翻訳機能は文章全体にしか適用できないわけではなく、選択範囲を指定して、翻訳したい部分だけを翻訳することができます。複数の資料を参考にしながら、要点をまとめた内部用資料を編集する場合等には便利な機能です。

デメリット①データ送信の際暗号化されない
翻訳機能はブラウザを介して外部のプログラムを実行して行われます。当然元の文章のデータを送信する必要がありますが、暗号化されないという大きなデメリットがあります。

デメリット②精度が低い
一定のプログラムに則った機械翻訳であるため、記載されている文章を定型的に訳してしまいます。汎用型のため専門用語を含む文書では翻訳の精度が低く、手作業での言い回しや誤字の修正が発生してしまう点がデメリットです。

3.【ファイル翻訳の方法2】無料の翻訳サイトを利用する

無料の翻訳サイトは、Webブラウザ上で使用することができる翻訳ツールです。テキストボックスに文章を貼り付けるか、元のファイルをアップロードすることで、オンラインで手軽に利用することができます。

翻訳の仕組みは機械翻訳ですが、Google翻訳であれば独自のアルゴリズムの進化により、比較的高い精度での翻訳が可能となっており、より自然な文章をアウトプットしてくれます。

しかし、基本的に無料の翻訳サイトが対象としているものは一般向けの文章であり、特定の事業者を対象としたものではないため、専門性の高い文章や難しいワードを含む文章の翻訳では精度が落ちてしまいます。

同様に、機密文文書等を取り扱うことも想定されていないため、データが暗号化されていません。業務用翻訳ツールとして使用するためには、活用できるシーンが限られてきます。

3-1.無料の翻訳サイトを利用するメリット・デメリット

無料の翻訳サイトにも、メリット・デメリットがあります。特性を把握してより上手に使いこなすためにも、ぜひ確認しておきましょう。

メリット①無料サイトのため費用がかからない
無料の翻訳サイトは、当然のこと費用は掛かりません。無制限にいくらでも文章を翻訳することができるため、翻訳にコストをかけたくないという場合にはおすすめの方法です。

メリット②ファイルをアップロードするだけのため簡単
無料の翻訳サイトの使い方は、サイトの指定のテキストボックスに文章を流し込むか、元のファイルをアップロードするだけで、簡単に文章を翻訳することができます。特別な使い方を覚える必要が無いため、誰でも手軽に使うことができることも大きなメリットです。

デメリット①データ送信の際暗号化されない
無料の翻訳サイトは、ブラウザ上で動作するWebアプリケーションであるため、データを送信する必要があります。しかし、ファイル付属の機能と同様に暗号化されない点が最大のデメリットです。

デメリット②専門性の高い文章の翻訳に不向き
ファイル付属の翻訳ツールと同様、専門性の高い文章や難易度の高い文章の翻訳には限度があります。場合によってはたくさんの修正箇所が発生してしまうため、扱う文章によっては不便さを感じる場合もあります。

デメリット③翻訳結果はテキストデータのみ
一般的に無料の翻訳サイトでは、翻訳結果はファイルではなくテキストで返されます。そのため、翻訳されたテキストデータを元のファイルのレイアウトに流し込む手間が発生します。加えて、元の文章とは文字数などが異なるため、元のレイアウトを保持する必要がある場合には、そのための細かい調整も発生します。

4.【ファイル翻訳の方法3】オンラインのAI自動翻訳を利用する

オンラインAI自動翻訳は、AI(人工知能)のテクノロジーを活用して、高い精度の翻訳を可能にするツールです。その翻訳精度はGoogle翻訳が60~65%程度であるのに対し、最新のAI自動翻訳は90~95%であると言われています。

ツールによっては分野別のデータベースも搭載されており、分野にマッチしたデータベースを選定することで、より高い精度の翻訳を実現できます。
自社の翻訳の傾向を登録してAIに学習させたり、細かいカスタマイズを行ったりすることもできるため、使い込むほどに翻訳業務をスムーズに進めることもできます。

AI自動翻訳ツールは有料となるものの、スピーディーに高い精度の訳文を得られるという点は、高頻度でかつ高い精度の翻訳を求めていた方にとって、とても魅力的に映るのではないでしょうか。

4-1.オンラインのAI自動翻訳を利用するメリット・デメリット

ここでは、オンラインAI自動翻訳を利用するメリット・デメリットについて解説します。
これまで紹介した2つの翻訳方法と比較して、どのような違いがあるかを把握するためにも、ぜひ参考にして下さい。

メリット①AIの進化で高精度な翻訳が可能
AI(人工知能)は、現代において非常に注目されている分野であり、研究も進んで実際に多方面で活用されてきています。ファイル翻訳においても例外ではなく、高度なAIを活用したツールにより高精度な翻訳を可能としています。その精度は90%を超えると言われており、人力での修正を必要としないスマートな翻訳作業を実現できます。

メリット②分野別データベースの存在でより専門分野に特化した翻訳が可能
AI自動翻訳ツールの中には、業種・分野別のデータベースを搭載しているツールもあります。用途に合わせたデータベースを選択することで、専門用語を含んだ文章でも高い精度の翻訳を実現することができます。

メリット③セキュアに保たれた状態での作業
AI自動翻訳は、翻訳精度の高さだけではなくセキュリティ面においても優れています。外部からの不正アクセスの阻止・データの暗号化・厳正なサーバー管理等により、機密情報が記載された文章も情報漏えいを気にすることなく安全に翻訳することができます。業務用途に充分に耐えうるセキュリティを備えている点は高く評価できます。

メリット④翻訳結果は元のレイアウトを保持
AI自動翻訳におけるファイル翻訳は、無料の翻訳サイトと異なり翻訳結果もファイルで返します。元のレイアウトを保持した翻訳ファイルが得られるので、資料作成やレイアウト調整の手間を省くことができます。

デメリット①利用料金を支払う必要がある
機能面・安全性・利便性においては、AI自動翻訳ツールが最も優れており、おすすめできる方法であることは確かです。しかし先にご紹介した2つの方法は基本的に無料のものが多いことに対し、AI自動翻訳は利用料金が発生するため、コストがかかる点はデメリットだと言えるでしょう。ただし、翻訳業者に依頼するよりは格段に安い料金です。

どの方法にもメリット・デメリットが存在するように、AI翻訳にももちろんデメリットは存在します。自分にとって最もメリットが得られる方法を探してみてはいかがでしょうか。

5.まとめ

ここまで、ファイル翻訳を行うための3つの方法と、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。翻訳精度の高さと利便性、セキュリティまで考慮するのであれば、やはりAIによる自動翻訳サービスが最も信頼できるでしょう。

コストは掛かりますが、翻訳作業に奪われる時間や手間によるロスを考えると、優秀なツールを活用してスマートに翻訳作業を進める方が、圧倒的に仕事は捗ります。

近年、AIは急速な進化を遂げており、さまざまな分野での活用が期待されているテクノロジーです。ファイル翻訳においても、いち早くその恩恵を享受して、ビジネスを圧倒的に加速してみてはいかがでしょうか。