【進化する人工知能】AI翻訳は従来と比べて
何が変わったのか?

(2020年6月4日更新)

この記事のポイント

  • NMT*:人間の脳のような仕組み(*Neural Machine Translation)
  • AIを用いた学習機能でさらに精度アップ
  • ファイルごと翻訳して業務効率アップ

ニューラルネットワークを利用したAI技術は、時代の変化と共に大きな進化を遂げています。
そして、現在流通しているAI技術による自動翻訳ソフトは、従来の自動翻訳ソフトに比べ、翻訳精度が非常に高くなっていると言われています。

しかし、自動翻訳を導入するか検討中の方の中には、こういったお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

「AI翻訳の機能性や精度は具体的にどれほど高いのか?」
「AI翻訳を使えば自然・正確な文章に翻訳できるのか?」

一般的に、AI自動翻訳機はビジネスの場面でよく使用されていますが、具体的にどれほど実用性があるのかわからないという方も多くいらっしゃるでしょう。

今回は、従来の自動翻訳技術と現在の自動翻訳機の違いを述べ、AI時代とも呼ばれる現代で活用されている翻訳ツールの有用性について説明します。

1. AI翻訳の進化の歴史

AI翻訳は、「AI(人工知能)」という言葉が最近の世間に広く知れ渡る前から技術として存在しており、現在では革新的な進化を遂げています。

以前まで使用されていた翻訳機能とは、また異なった技術が現在の自動翻訳機に使用されており、歴史を紐解くことでAIの進化をたどることができます。

まずは自動翻訳の歴史を見ながら、AI翻訳の進化について見ていきましょう。

1-1. 1980年代から急速に普及した統計翻訳

AI翻訳は、1980年代の統計翻訳(SMT:Statistical Machine Translation)の急速な普及から始まりました。
統計翻訳とは統計的機械学習技術を利用したもので、豊富なテキストデータに基づき、一定のアルゴリズムから言語を翻訳するシステムのことを指します。
以前の機械翻訳はルールベースの翻訳が主流となっていましたが、1980年代の計算機の発達によって、統計的な情報から翻訳する仕組みが開発されました。

しかし、当時の統計翻訳の実用性は少し乏しいものがあり、日英・英日の訳文でも正確性に欠けることがほとんどで、費用がかかる割に十分な有用性を示すに至らない部分が多くありました。

1-2. ディープラーニングをベースにした「NMT」

1980年頃に急速に普及し始めた統計翻訳が2010年代に頭打ちになってきた際、「ニューラル機械翻訳」と呼ばれる「NMT(ニューラルネットマシントランスレーション)」という新たな仕組みが登場しました。
統計翻訳とは異なるシステムで構築されたNMTは、2010年以降から多くの企業に注目され続け、現在でもその研究は進んでいます。

新しい手法として用いられたNMTはディープラーニング(深層学習)をベースとしたモデルで、人間の脳のような思考能力を持ち合わせています。
また、ディープラーニングは高い精度で機能を果たすコンピューターによる機械学習の一つで、人工知能であるAIの急速な発展を支えています。

NMTでの翻訳は、まるで本当の人間が訳したかのような正確な文章の作成ができるようになった上、中国語や韓国語、さらにドイツ語やスペイン語など対応言語もより幅広くなり、多言語翻訳が可能となりました。

以前の統計翻訳(SMT)とは違い実用性を評価されたNMTは、現在でも多数の企業で導入されており、2016年にはグーグルが提供する翻訳サービスに採用されています。

2. 従来の自動翻訳技術と最新の自動翻訳技術の違い

ここまでAI翻訳の進化の歴史を辿ってきましたが、ここからは従来の自動翻訳技術と最新の自動翻訳技術の違いをご紹介します。
以前までの自動翻訳機と比べると、現在の最新自動翻訳機は技術の革新により圧倒的に機能性が高くなりました。

具体的にどういった機能性の違いがあるのかを含めて詳しく解説します。

2-1. 文章の自然さの向上

従来の自動翻訳機では、翻訳エンジンに読み込ませると不自然な訳文となってしまうことがあり、上手く意味が伝わらないという誤訳が頻繁に起きていました。

しかし、最新の自動翻訳では文章全体の意味を把握した上で、人間が実際に日常生活で使用するような言葉と遜色のない自然な文に訳すことができます。
またAIのアルゴリズムにより、前後の文章を認識しながら的確な文を作成することが可能となりました。

どのような文章も自然な形に翻訳するため、企業で扱われるような長文の資料や議事録等にも対応できます。
意味を理解した上での翻訳により文章の自然さが向上したことは、従来の自動翻訳機と最新の自動翻訳機との大きな違いと言えるでしょう。

2-2. 専門用語に対応

医療業界や建設業界、食品業界など様々な専門業種がありますが、従来の翻訳機では専門用語の訳文を行うことに限界があり、見慣れない単語はそのまま意味の分からない文章に翻訳されていました。しかし、最新の自動翻訳機はこれら専門・業界用語の翻訳も可能となりました。
さらに、分野ごとに自動翻訳機をチューニングすることで、より精度の高い翻訳を行うこともできます。

「専門用語の翻訳」に対応することにより、専門用語を翻訳するための社員教育を行う必要がありません。また、不明な単語を調べる手間を省き、ビジネスシーンに適応したハイパフォーマンスな翻訳が実現できます。
グローバル展開する企業にとって、幅広い専門用語に対応した最新の自動翻訳機は大きな魅力となるのではないでしょうか。

2-3. 学習機能の搭載

従来の自動翻訳機では、新しい意味を持つ言葉の情報を人間が定期的にインプットしなければ的確な訳文に導くことができませんでした。
さらに、人間が定期的にインプットを行ったとしても、世界中にある膨大な言葉の情報を認識することには限界がありました。
そのため、不自然な翻訳や意味の伝わらない訳文が作成されることが多く発生していたのです。

しかし、最新の自動翻訳機には「学習機能」が搭載されています。
全ての翻訳結果を専用のデータベースに蓄積し、そのデータから人工知能が学習することで、プロの翻訳者と同レベルの翻訳の正確さを実現することが可能となりました。

この学習機能の搭載により、かつて「使えない」と言われていた自動翻訳機のイメージは逆転し、現在では多くの方に評価されています。

3. AI翻訳の導入で業務効率が大幅アップ

ここまでで、AI翻訳の導入はグローバル企業の業務効率を大幅にアップさせるということが分かります。

また最新の自動翻訳機は、海外企業との取引の際に使用されるオフィスアプリケーションなどをそのままのレイアウトでファイルごと翻訳し、かつ圧倒的なスピードで翻訳することが可能となりました。

このように、AI機能の備わった最新の自動翻訳機は企業の業務効率がアップし、翻訳家を雇うよりもコストを削減することができるため、作業面や経費面において大きなメリットがあります。

まとめ

現在のAI翻訳の精度は従来の翻訳機よりも大幅に向上しましたが、これまで「翻訳機は使えない」と言われていたことにより、まだまだ良いイメージを持っている方も少ないでしょう。
しかし最近では、コストや翻訳スピードを考え、翻訳機や翻訳サービスを検討する企業も増えてきています。
グローバル展開をしている企業は最新の自動翻訳機を導入しており、さらなる事業の展開を実現しています。

最新の翻訳ソフトや自動翻訳サービスでは、購入前に一度体験することができる「無料デモ」を提供しているものもあります。
自動翻訳機の導入を検討している方は、まず「無料デモ」を体験して実際に精度を確かめてみることから始めてみてはいかがでしょうか。