翻訳ソフト?専門会社へ依頼?
目的別でみる最適な翻訳手段の選び方

(2020年11月12日更新)

この記事のポイント

  • 翻訳ソフトは「専門性」「コストパフォーマンス」「多言語対応」
  • 翻訳者雇用は「コミュニケーション」「細かなニュアンス対応」
  • 翻訳専門会社は「専門性」「品質管理」「コンサルタント」

近年、より大きくひらけた市場を求めて、海外進出する企業が増えています。
しかし、海外マーケットを視野に入れる際に課題となるのは、メールから契約書、申請書などの読解・作成で立ちはだかる"言葉の壁"です。

この課題を解決するためには何かしらの翻訳手段を導入する必要がありますが、翻訳手段には「翻訳ソフト」や「翻訳専門会社」、「翻訳者の雇用」など選べる選択肢が多数あります。
それぞれ強みが異なり、価格帯も大きく差があるため、海外進出を成功させるには会社の課題解決に適した翻訳手段を選ぶことが大切です。

では、さまざまな選択肢がある翻訳手段の中で、どの手段を選ぶのが最も最適なのでしょうか。
今回は、翻訳ソフト・翻訳専門会社・翻訳者の雇用という3つのサービスの中で、最もおすすめの翻訳手段は何なのか、それぞれ特徴とメリットを比較しながらご紹介します。

1. 【目的別】3つの翻訳手段を徹底比較

翻訳手段を検討する際の選択肢として、代表的なものが以下の3種類です。

  1. 翻訳ソフト
  2. 翻訳者の雇用
  3. 翻訳専門会社

最適な翻訳手段を選ぶために、まずはそれぞれの特徴、長所と短所を見ていきましょう。

1-1. 翻訳ソフト

翻訳手段の中でも、特に多くの人に利用されているのが翻訳ソフトです。Web上で誰でも手軽に利用できる無料翻訳ソフトから、専門分野に特化した高精度の翻訳ソフトまであり、精度の高さや価格帯も幅広いため、数ある商品の中から最も適したサービスを選ぶ事が可能です。

翻訳ソフトを使用することには、以下4つのメリットがあります。

  • 作業コストの削減
  • 業界に特化した翻訳が可能
  • 英語だけでなく多言語に対応
  • 低コストで導入可能

近年、翻訳ソフトの精度向上はめざましく、ディープラーニングを用いたニューラルネットワーク翻訳の登場により飛躍的に精度が進歩しました。
さらにAI技術の活用により、 ソース文の文脈を読み膨大な翻訳データ(翻訳コーパス)の中から最適な訳文を導けるようになっています。
そのため、最新の翻訳ソフトを導入することで再翻訳や修正等がほとんど必要なく、翻訳したいデータをソフトに入れるだけで完成度の高い翻訳ができるため、作業コストを大幅に削減することが可能です。

また、高精度な翻訳ソフトは英語だけでなく、中国語・韓国語からイタリア語やドイツ語、モンゴル語やロシア語など、マイナー言語に至るまで世界各国の言語を網羅しているため、グローバルな経営戦略を後押しします。

有料の翻訳ソフトにいろいろなタイプもありますが、最近多くの企業が導入し始めているのは利用文字数だけ費用がかかるタイプです。
専門分野に特化した高精度な翻訳ソフトであっても0.3円/文字~0.6円/文字で導入できます。
他の翻訳手段に比べれば低コストで導入・運用が可能であるため、万が一失敗した場合のダメージが少ないことも大きなポイントです。

ただ、翻訳ソフトは他の翻訳手段に比べて商品数や種類が豊富にあるため、どの翻訳ソフトが自社に最適なのか選定が難しく、合わない製品を導入してしまう可能性があるのがデメリットです。

無料のデモや体験版を通して、検討するほうがよいでしょう。

1-2. 翻訳者の雇用

翻訳手段には、翻訳者を雇用する方法もあります。語学のエキスパートを雇うことで、翻訳業務のプロジェクトを一任することが可能です。

翻訳者を雇用することには、以下3つのメリットがあります。

  • 綿密なコミュニケーションが図れる
  • 細かなニュアンスを伝達しやすい
  • 翻訳者の能力によっては、クオリティが飛躍的に高まる可能性がある

翻訳者を雇用する最も大きなメリットは、 綿密なコミュニケーションが図れることです。
社内において、状況に応じたミーティングの機会を設けられるため、翻訳プロジェクトの方向性について綿密に話し合い、事業プランを設計し、結果を踏まえて改善することができます。
自社製品や業界の文化的背景など、細かいニュアンスを直に伝えた上で翻訳を行うため専門性も高いほか、そもそもの意図が異なるような大きなミスも少なく済みます。

また、もともと翻訳者がソース言語・ターゲット言語に対して造詣深く、分野にも精通している場合は翻訳のクオリティが大幅に向上する可能性もあります。
しかし、多言語の翻訳が可能な翻訳者はなかなか見つからないほか、技術に見合った報酬を支払わなければなりません。翻訳の能力が高かったり、対応言語が多ければ多いほど高時給に設定されている翻訳者が多いため、なるべくコストを抑えて翻訳してもらいたいという方には不向きだと言えます。

1-3. 翻訳専門会社

翻訳専門会社とは、翻訳ビジネスを専門的に行う企業のことです。
組織化されたプロフェッショナル集団であるため、以下のようなサービスを期待できます。

  • 徹底した品質管理
  • 専門分野の翻訳
  • コンサルティング

翻訳専門会社は組織力を活かして翻訳物の品質管理を徹底しているため、クオリティの高い翻訳サービスを受けることが可能です。

また、医療、IT、法務といったカテゴリーごとに部署を設けるなど、専門領域のニーズに応える体制が整っています。
企業の持つネットワークを駆使して、医師や弁護士など専門家から 翻訳文に関して的確なレビューを受けられることもメリットのひとつです。
さらに、契約内容によっては、翻訳ビジネスのプロによるコンサルティングを受けられるケースもあります。

しかし、翻訳専門会社は1文字あたりで料金が発生する場合が多いため、毎日のように長文の翻訳が必要となる場合は多大なコストがかかります。

2. コスト・精度どちらも重視するなら「翻訳ソフト」

ここまで述べてきたように、3種類の翻訳手段にはそれぞれ特徴がありますが、コストパフォーマンス、翻訳精度の両面を重視して選ぶ場合は、翻訳ソフトの導入が最適な選択と言えます。
将来的に翻訳者の雇用やアウトソーシングを検討する場合であっても、まずは翻訳ソフトを導入して運用し、機能を補う目的で翻訳者を探す事で、コストの無駄なくスムーズに運用ができるでしょう。

では、翻訳ソフトの導入を検討する場合、何を基準にソフトを選ぶと良いのでしょうか。
ここからは、翻訳ソフトの探し方について解説します。

3. 目的別おすすめ翻訳ソフトの探し方

重視する項目によって、適した翻訳ソフトは異なります。
したがって、翻訳ソフトを選ぶ際は 検討段階から目的を明確にしておくことが大切です。

「低コストで自社製品の取扱説明書を翻訳したい」「医薬文献を修正する必要ない高精度なレベルで翻訳したい」など、作業内容を具体的にすることで、選ぶべき翻訳ソフトをある程度絞りこむことができます。

目的を明確に定めるのが難しいという場合は、ビジネス目的で翻訳ソフトを探している方が特に重視しているポイントを見て探してみると良いでしょう。
ここでは、重視されやすい2つのポイントである「コストパフォーマンスの高さ」「専門分野での翻訳精度の高さ」に焦点を当てて、翻訳ソフトの探し方を紹介していきます。

3-1. コスパを最重視するなら「機能性と料金」

コストパフォーマンスを最重視する場合は、導入・運用費用に対してどれだけの機能を備えているかが重要となります。

機能を比較するポイントは主に以下の3点です。

  • 使いやすさ
  • 収録単語数
  • 対応する文書のファイル形式

翻訳ソフトの機能性を比較する際、特に目安となるポイントは収録単語数と対応ファイル形式です。
料金と機能のバランスを考えて、業務効率化に最適な翻訳ソフトを選びましょう。

実際に翻訳ソフトの公式サイトや商品ページを見て比較することも大切ですが、実際に多数の翻訳ソフトを使用した方による満足度や評価を見たり、機能性と料金に絞り込んで「売れ筋ランキング」を見てみるのもおすすめです。

3-2. 専門分野の翻訳が必要なら「対応可能分野」

 

医療や化学、ITなど専門分野の翻訳に求められるのは、対象領域に特化した翻訳ソフトです。
高性能な翻訳ソフトには、翻訳時に分野を選択することで、より適切な対訳文を生成できるソフトもあります。

また、業界用語や社内の言い回しを学習するため、使用するほど自社に最適化されていきます。
難易度の高い化学文献や法務書類、金融文書などの分野を翻訳する場合は、 専門領域に特化した翻訳ソフトの導入がおすすめです。

 

まとめ

現在、高性能な翻訳ソフトが多く登場していますが、重視する項目がコスパなのか、専門分野への対応なのかによって製品の種類が異なるため、翻訳ソフトの導入目的を明確にしておくことは何より大切です。

最も適した翻訳ソフトを導入するために、まずはこの記事を通して最適な選び方について知り、自社にとって最適な翻訳ソフトを探してみてはいかがでしょうか?