無料の翻訳ツールじゃ物足りない!
海外在住の翻訳者が評価する最新AI翻訳の実力

近年、オンライン上には無料の自動翻訳ツールからAI(人工知能)を駆使した有料のものまで数多くあります。 「どれを利用すればいいかわからない」「翻訳精度はどの程度違うのか」 と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、プロの翻訳者レベルの実力といわれる株式会社ロゼッタのAI自動翻訳「T-4OO(ティー・フォー・オー・オー)」と無料の「Google翻訳」を比較。翻訳の精度を検証します。

Google翻訳との比較で見えたT-4OOの実力

T-4OOは「Translation for Onsha Only(御社オンリー)」の略で、ロゼッタが開発したクラウド型のAI自動翻訳サービスです。 医薬・金融・化学・機械・IT・法務など2,000以上の専門分野を「最大精度95%=プロ翻訳者に匹敵する正確さ」で翻訳することを強みとしています。

一方、無料自動翻訳ツールの代表格ともいえるGoogle翻訳の精度も向上しています。Google翻訳は2016年11月、従来の「統計機械翻訳(SMT)」から、深層学習ベースの「ニューラル機械翻訳(NMT)」に切り替えました。 この革新的なアップデートにより、英語が瞬時に違和感の少ない日本語に翻訳されることが可能になったのです。

では早速、同じ文章をT-4OOとGoogle翻訳で翻訳してみます。T-4OOは専門分野が選べるので、「契約書」を選択しました。以下の文は、あるプロバイダーとクライアントとの間で交わされた支払いに関する契約書の一部です。

【支払いに関して】
Provider will invoice Client for Services performed within 7 days of performance. Client will pay Provider as set forth in each Statement of Work within 14 days of receipt and acceptance of such invoice. It is understood that payments to Provider for services rendered shall be made in full as agreed, without any deductions for taxes of any kind whatsoever, in conformity with Provider’s status as an independent contractor.

【T-4OOの翻訳結果】
プロバイダーは、履行後7日以内に履行された本サービスについてクライアントに請求する。クライアントは、当該請求書の受領および受領後14日以内に、各作業明細書に定める通りプロバイダーに支払う。提供されたサービスに対するプロバイダーへの支払いは、プロバイダーの請負業者としての地位に従い、いかなる種類の税金の控除も伴わず、合意どおりに全額支払われるものとする。

【Google翻訳】
プロバイダーは、パフォーマンスの7日以内に実行されたサービスについてクライアントに請求します。クライアントは、請求書を受領して受理してから14日以内に、各作業明細書に記載されているとおりにプロバイダーに支払います。提供されるサービスに対するプロバイダーへの支払いは、プロバイダーの独立した契約者としての地位に応じて、いかなる種類の税金も控除することなく、合意されたとおりに全額支払うものとする。

【契約書内の「情報」という用語について】
For purposes of this Agreement, the term “Information” shall mean any information that Provider may receive from Client pursuant to this Agreement where such information (a) if Provider receives it in written form, is marked “Confidential” and (b) if Provider does not receive it in written form, is declared by Client in writing to be confidential within thirty (30) days after disclosure.

【T-4OOの翻訳結果】
本契約の目的上、「情報」という用語は、プロバイダーが本契約に基づきクライアントから受領することができる情報を意味するものとし、当該情報は、(a)プロバイダーが書面形式で受領する場合、「秘密」と表示され、かつ(b)プロバイダーが書面形式で受領しない場合、開示後30日以内に、クライアントが書面で秘密であると宣言する場合、を意味するものとする。

【Google翻訳】
本契約において、「情報」という用語は、本契約に従ってプロバイダーがクライアントから受け取ることができる情報を意味します。その情報は、(a)プロバイダーが書面で受け取った場合は「機密」とマークされ、(b)プロバイダーはそれを書面で受け取っておらず、開示後30日以内にクライアントが書面で機密であると宣言した。

上記をご覧いただければわかる通り、 T-4OOは法律用語を的確に使用しているほか、翻訳精度も非常に高く、表現も自然でなめらかな印象を受けました。 Google翻訳もしっかりとした訳文が出力されましたが、 「ですます」調と「である」調が混在していたり、契約書にはふさわしくない表現が使われていたりして、細部のツメが少し甘いように感じました。

T-4OOを使用してみて気づいた3つの魅力

ではここで、T-4OOを実際に使用して気づいた点をご紹介しましょう。

【1:操作がシンプルでわかりやすい】

使い方はとても簡単でした。 翻訳したい原文を貼り付けて、言語・翻訳サービス・分野などを選択するだけです。 テキストを貼り付ける「テキスト翻訳」から、Word・Excel・PowerPoint・PDFのデータをそのままアップロードする「ファイル翻訳」や、URLを打ち込むだけで翻訳可能な「WEB翻訳」まで、幅広いスタイルに対応しています。

【2:「究極の辞書」を駆使して効率化アップ】

細分化された分野ごとの翻訳例を対訳で表示する訳例機能「究極の辞書」が参考になりました。 これはユーザーごとに蓄積された過去対訳から類似文を検索して表示する翻訳メモリ機能です。一つの単語に対して複数の意味がある場合、各訳語の使用頻度を分野別に検索できます。 「究極の辞書」を活用することで、翻訳作業の効率化のみならず英語力の向上も期待できそうです。

【3:AI翻訳ならではのハイレベルな訳文】

文法がシンプルな短文であれば、人間によるポストエディット(自動翻訳後の修正)はほとんど必要のないハイレベルな訳文が表示されました。 文法が複雑で長文になると、同じ単語でも訳語がところどころ異なり表記ゆれが生じることがありましたが、 T-4OOは翻訳結果をユーザーが修正し登録すると、AIが修正箇所を学習し次回以降の訳文に反映されるため、利用すればするほど表記ゆれは少なくなるそうです。

正式なビジネス文書の翻訳は、AI自動翻訳ツールが安心!

Google翻訳は数年前に比べると格段に精度が向上し、ちょっとした短文の翻訳や単語の検索などには便利なツールです。 しかし、正式なビジネス文書や専門分野の文章となると、今回ご紹介したT-4OOのような実力派のAI自動翻訳ツールを使用した方が、セキュリティー面のみならず精度面でも確実で安心といえるでしょう。 使えば使うほど翻訳精度が高まる、まさに「御社オンリー」のT-4OO。 AI翻訳サイトの利用を検討されている人は、一度T-4OOの精度を体感してみてはいかがでしょうか?

筆者:小副川晴香/ニュース翻訳者・編集者
東京都出身。立教大学法学部卒業後、大手新聞社で編集業務に携わったのち、2013年よりオーストラリア・シドニーに永住。現地の総合邦字紙で編集者、経済ビジネス情報メディアでオセアニア圏の政治経済ニュースの翻訳・編集・校正などを行う。趣味は語学学習と読書。英語独特の表現をいかに自然な日本語に翻訳するか日々研究中。