増える外国人労働者。
建設業界に求められる翻訳ツール5つの必須条件

少子高齢化により、労働力人口が年々減少している日本。深刻な人材不足を解消するため、建設業を中心に外国人労働者の受け入れが進んでいます。

しかし、外国人労働者を雇用する際に付きものなのが言葉の問題。 そこから生まれる現場のトラブルや仕事の遅延を避けるため、自動翻訳を活用する建設業者が増えています。

今回は、建設業界に求められる翻訳ツールの条件を見ていきましょう

外国人労働者が激増。建設業界でも言葉の壁が喫緊の課題に

2008年に8,355人だった建設業界の外国人労働者は、2019年に93,214人まで増加しました。

      ※厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について」より抜粋し、独自に制作

政府が後押しをする外国人技能実習生制度も本格化し、今後はさらに外国人労働者が増える見込みです。

そのため、言葉の壁を解決することが急務。 日本語の指示をきちんと伝わらずにミスが多発したり、何度も同じ説明を繰り返したり、仕事の品質や効率から人間関係まで、言葉の壁が原因で生じるトラブルは少なくありません。建設業界では、東南アジアなど非英語圏からの労働者も多く、英語でも日本語でも意思疎通ができず、日本人担当者が頭を抱えることもあるようです。

そうした言語の壁を取り除いてくれるのが自動翻訳。相手の言語と日本語を瞬時に翻訳し、互いの理解を促してくれる翻訳ツールは、業種を問わず、外国人労働者との仕事に欠かせないツールになりつつあります。

ただ、翻訳ツールと一言で言っても、その性能や機能はさまざま。建設現場などの産業シーンで自動翻訳を活用するには、いくつかの課題をクリアしなければなりません。 安全が絶対条件の建設現場では、ミスコミュニケーションが大きな事故につながる恐れもありますので、下記に挙げる5つの機能に注目して翻訳ツールを選びましょう。

 

建設現場のリアルな声に応える理想の翻訳ツールの条件とは?

常に状況が変化し続ける建設現場でのコミュニケーションにおいては、オフィスや会議室とは異なるニーズがあります。 そんな建設現場のリアルな声に応えるには、下記のような特徴を持つ翻訳ツールが理想です。

1.ハンズフリーで利用できる
両手で作業を続けながらスムーズに会話を進めるには、ハンズフリーで利用できる翻訳ツールが良いでしょう。 メガネやゴーグル型のウェアラブルなデバイスなら、建設現場の作業を中断することもありません。

2.多数の言語に対応している
今や日本の建設現場には、ベトナムやタイ、インドなど、世界各国から外国人労働者が集まります。 英語やフランス語、イタリア語といった西欧諸国の言語だけでなく、なるべく多くの言語に対応している翻訳ツールが建設現場で力を発揮するでしょう。

3.建設業界の専門用語を正確に翻訳できる
専門用語を正しく理解する高性能な翻訳機能はビジネスシーンでの利用に欠かせません。 「ネコ(手押しの一輪車)」「あさがお(落下物防止網)」「まんじゅう(高さ調節に使うモルタル)」など、 建設業界ならではの用語や単語、言い回しなどを正確に伝える精度の高い翻訳が、仕事のミスやトラブルを防ぎます。

4.翻訳した内容を文字と音声で知らせる
装着したデバイスに翻訳した言語がテキストで表示される機能を備えていれば、工事の音で音声翻訳がさえぎられても大丈夫。 視覚と聴覚の両方で翻訳内容を確認でき、現場の環境に左右されません。

5.遠隔地ともリアルタイムで翻訳通話ができる
建設現場内だけではなく、オフィスの担当者と建設現場の外国人労働者を直接つなぐことができれば、意思疎通がより明確に。 ウェアラブルツールを通して画像で現場の状況を確認したり、CADなどを共有しながら現場に指示を出したり、翻訳機能を超えた高機能なビジネスツールとしても活用できます。

建設業界に貢献する革命的な翻訳ツールが登場!

翻訳ツールは数多くありますが、産業の現場で役立つツールはまだ市場には多くないのが現状です

ロゼッタと飛島建設株式会社が共同開発した建設業界向け多機能ハンズフリーシステム「T-4PO Construction」の市場展開がいよいよ始まりました。この翻訳ツールの登場で、建設業界の言葉の問題は大幅に解消されるでしょう。 今後は建設業界だけでなく、医療や介護、製造業界などでの活用も期待されています。

建設現場をはじめとした、柔軟性や多様性が求められる産業シーンで翻訳ツールを導入する場合は、今回ご紹介した5つの条件を参考にしてみてください。

筆者・聞き手:林カオリ/ライター・編集者
大手広告制作会社、編集プロダクションにてコピーライター、編集者、記者として活動した後、オーストラリアに渡航。15年間の海外生活中は、日豪両国の媒体にて多彩な執筆活動を行う。2012年に帰国。現在は国際性を生かした海外関連記事を中心に執筆活動を行うとともに、編集・出版の合同会社パブリスプラスの代表として活動する。知的財産管理技能士3級。