英語の報告書をわかりやすく
まとめるための基本的な書き方

欧米人の上司や海外支社とのコミュニケーションなど、国際ビジネスに欠かせない英語の報告書。 報告内容に誤りさえなければ良いと思われるかもしれませんが、レポートの良し悪しが仕事の評価を左右することも多く、自己PRツールとしても決して軽視できません。

報告書の定番スタイルや書き方のコツをマスターして、評価につながる英語の報告書を目指しましょう。

よくできた英語の報告書は絶好の自己PRツールに

業務報告書は円滑に仕事を進めるために欠かせませんが、自分の評価を左右する重要な自己PRツールの役割も担っています。

年齢や経験に関係なく、実力次第で仕事のポジションがどんどん上がったり、より条件の良い会社へ転職したりするのは、海外では当たり前。 そのため、日々の仕事の出来もさることながら、いかに自分ができる人間かをアピールしようと、誰もがPRの機会を狙っています。

「黙っていても見る人はきちんと見てくれる」という日本特有の控えめな態度で英語の報告書を適当に書いていると、どんどん周囲に差を付けられかねません。 報告書を日々の業務に付随するオマケのような仕事と考えているなら、今すぐその認識を改めましょう。

英語で報告書を書く際は、ただ単に仕事の進捗をレポートするのではなく、自分のアイデアや自分の能力を印象付ける内容に仕上げることが必要。 読みやすく洗練された英語の報告書を提出することで、周りから一目置かれ、大きな仕事へとつながることもあるのです。

 

英語の報告書の書き方をマスターするには「構成」を意識しよう

自己PRツールとしても有効な英語の報告書ですが、一瞥して読みにくければ目も通してもらえません。 外国の人に馴染みのある読みやすい英語の構成(フォーマット)に則して、アイデアを簡潔にまとめることが大切です。

部署や会社によっては定型フォーマットがある場合もありますが、最も一般的な英語の報告書の構成パターンを例に挙げてご説明します。

1.概要
いわゆるSummary(サマリー)といわれる部分で、これから述べる報告書の中身を簡潔に要約します。

この部分を読めば報告書全体の大まかな趣旨がつかめるよう、わかりやすくまとめましょう。 概要を魅力的に仕上げるかどうかで、報告書にしっかりと目を通してもらえるかが決まります。

「箇条書きで重要ポイントを列記する」「全体の内容を短い文章にまとめる」など、報告内容に適した形でまとめましょう。

2.導入
本題へのイントロダクションです。 この部分で報告書の結論を短くまとめ、その結論を導き出した理由を短くまとめます。

例えば、現行のオンラインシステムに問題があり、その改善策として新たなソフトウェアの導入を提案する場合。まずは結論として「ソフトウェアを導入したい」旨を述べ、その結論に至った経緯として「現行のオンラインシステムの不具合が理由で複数回の顧客トラブルが発生しており、対応のための時間とコストが浪費されている」といった理由を簡潔に説明します。

3.本題
導入部分で述べた内容を詳細に説明します。 裏付けとなるエビデンスや数字、証言、事実などを提示しつつ、データの分析や結論に至るまでの経緯をまとめ、報告書の信憑性を高めます。

主観のみで書かれたレポートは論理性に欠けるため、具体的な数字をグラフで表したり、信頼できるリサーチ結果を掲載したり、読み手が客観的に判断できる材料を示しましょう。

「2.導入」で挙げたオンラインシステムの報告書の例では、システムの不具合を示すレポートや、顧客から寄せられた具体的なクレーム、システムの不具合を修正するのにかかった時間や費用などを提示すると良いでしょう。

現行のオンラインシステムの問題点を浮き彫りにしたうえで、「ソフトウェアを変える」「オンラインシステムごと変更する」「オンラインシステムの業務を外注に変更する」などの解決策を提示し、読み手の判断材料をそろえます。

4.結論
今まで述べてきた内容を改めて短く振り返り、この報告書の結論を述べます。 また、結論を出すにあたり、どういった点を主に考慮したのかを論理的に説明します。

「2.導入」で挙げたオンラインシステムの報告書の例だと、不具合で仕事に支障が出ている事実とそのための対応策について述べ、その中で新しいソフトウェアを導入することが最も良い解決策であることをエビデンスとともに説明すると良いでしょう。

以上のように、英語の報告書では、最初に簡単に概要をまとめ、論旨をサポートする根拠を明示して、結論へと進みます。 状況を丁寧に説明してから結論を述べるスタイルに慣れてしまっている人は、英語の報告書にふさわしい構成に沿ってレポートを書くようにマインドセットしましょう。

評価につながりやすい英語の報告書の書き方3つのコツ

英語が得意な人は別として、英語の報告書作成を億劫に感じる人も少なくないでしょう。中には英語を書くことに時間を取られて、肝心のレポート内容をおろそかにしている人もいるかもしれません。

しかし、日本語の報告書でも英語の報告書でも、最も大切なのは中身です。 ここでは、より評価につながりやすい英語の報告書の書き方のコツを伝授します。

【英語の報告書の書き方のコツ1:日頃から報告書の材料を集めておく】
日頃から気になったデータを保存しておいたり、報告書に役立ちそうなことをメモに書き留めたりなど、報告書の材料を集めておくと良いでしょう。

【英語の報告書の書き方のコツ2:頻出フレーズで洗練された印象に】
英語の報告書で多用される言い回しを使ってまとめると、洗練された印象に仕上がります。

・I would like to report on that~(~についてご報告します)
・according to ~(~によれば)
・in comparison with~(~と比較して)
・in summary(要約すると)
・in conclusion(結論として)

また、「~と考えられる」のような主語があいまいな受動な表現ではなく、「〇〇は~と考える」といった主体的な能動表現を使うなど、英語が好む文章を意識すると、より読みやすくなります。

【英語の報告書の書き方のコツ3:日本語でまとめてから英語に翻訳する】
英語となると稚拙な表現になってしまうという人は、先に日本語でまとめると良いでしょう。 英語の報告書フォーマットに沿って日本語でレポートを書き、最後に英訳をする方が効率的です。 さらに自動翻訳を活用すれば、英語の報告書作成にかかる時間が大幅に削減されるでしょう。

英語の報告書の書き方を習得すれば、仕事の評価がぐんとアップ!

報告書は、日頃の業務を円滑に進めるためのもの。 その報告書の英訳に時間を大幅に費やして業務を滞らせてしまうのは本末転倒です。 しかも、英訳だけに時間をかけて肝心のレポート内容がおろそかになれば、不本意な評価を受けてしまいかねません。

報告書は、中身を練ることに時間を使いましょう。 そして、英語の報告書の構成(フォーマット)に沿って日本語で書き、それから翻訳するのが近道です。 実のある報告書を英語で作成することができれば、上司や取引先からの評価もぐんと上がること間違いありません。

また、日本語で書いた報告書を英語で翻訳する際、自動翻訳を活用すれば大幅に時短することも可能です。ロゼッタのAI自動翻訳はビジネス向けに開発されており、一般的な自動翻訳には難しい専門分野の翻訳にも対応しています。無料デモも実施していますので、自動翻訳の業務活用にご興味があれば、ぜひ一度ロゼッタへご相談ください。

筆者:林カオリ/ライター・編集者
大手広告制作会社、編集プロダクションにてコピーライター、編集者、記者として活動した後、オーストラリアに渡航。15年間の海外生活中は、日豪両国の媒体にて多彩な執筆活動を行う。2012年に帰国。現在は国際性を生かした海外関連記事を中心に執筆活動を行うとともに、編集・出版の合同会社パブリスプラスの代表として活動する。知的財産管理技能士3級。