【インタビュー記事】
執行役員が語る翻訳業界へのメッセージ

※本記事は、2020年1月10日取材のインタビューを再構成したものです。

事業会社にAI翻訳の導入が進む昨今、翻訳業界も変革期に差し掛っていると言えます。 自身も長年に渡って翻訳会社を経営してきた経験を持ちつつ、AI翻訳機「T-3MT」のエヴァンジェリストとして、 事業会社と翻訳会社の双方に「T-3MT」を提案する立場にあるロゼッタ渡邊麻呂が、 翻訳マーケットに対する思いを語りました。

渡邊麻呂/株式会社ロゼッタ T-3MT担当
Chief Evangelist Officer 執行役員


大手翻訳会社の代表取締役を10年務めたのち、2016年に翻訳コンサルティング会社を設立。日本翻訳連盟の理事経験もある日本の翻訳業界の第一人者。ロゼッタの経営理念に共感し、2019年11月より現職に。時代を変える異次元のAI翻訳機、T-3MTのエバンジェリストとして精力的に活動を行う。

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新しい主力製品となるT-3MTは
お客様はもちろん、翻訳会社にこそメリットを享受してほしい

――ロゼッタの新しい主力製品となるT-3MTのエバンジェリストとして、翻訳市場の顧客と翻訳会社にT-3MTを普及させる立場にあるが、翻訳会社についてどのように考えていますか?

欧州では機械翻訳(MT)は使えるかという議論はすでに終わっていて、その他の翻訳関連業務をどうAI化するかが検討されています。 それに対して、日本では翻訳会社へのMT導入がなかなか進んでいません。その理由を問えば、品質が悪い、ポストエディターがいない、かえって負荷が増える、などの回答が返ってきます。

しかし、そうしている間にもAI翻訳の改良は進んでいく。 T-3MTでは品質が改善されるだけでなく、ユーザーが自分で簡単に専用のMTエンジンをカスタマイズできるUIが提供されます。 翻訳会社がMTの導入を先送りする理由がまたひとつ減ります。翻訳会社にはぜひ、いち早くT-3MTを試してほしいと思います。

顧客の後手に回れば翻訳業界が危うい

15年間に渡って翻訳会社を経営してきましたが、完全な翻訳を納品できたと思えたことは一度もありませんでした。それは顧客にしても同じ思いでしょう。

そんな顧客がT-3MTの翻訳出力を見た時に、「今まで翻訳会社に依頼してきたけど人間が翻訳してもどうせ修正は必要だよね。一方で、MTは納期が短いし価格も安いよね。」と感じた途端に翻訳会社への発注が減ってしまいます。そうなってからでは遅い。

私は翻訳会社が、かつてDTPが普及した時に衰退した印刷会社と同じ運命を辿ることを危惧しています。

翻訳工程を刷新する千載一遇の機会

とは言え、顧客企業は翻訳のプロではなく、翻訳工程の実践的知識を誰よりも持っているのは翻訳会社です。T-3MTというツールを使って何ができるのかを考え、顧客に提案するのは翻訳会社の役割だと考えます。

MTを使ったワークフローは未だ確立されていません。いま優れたMT翻訳ワークフローを開発できれば、それは翻訳会社にとって千載一遇の大チャンスのはず。仮にこの機会を避けても、結局は他のプレイヤーが提案して、言ったもの勝ちになるかもしれない。であれば、ぜひ翻訳会社にこそT-3MTをきっかけとして、MTの活用にチャレンジしてほしいと思います。

やはり自分は翻訳業界が好きなので、T-3MTで翻訳会社を全力支援したいですね。