翻訳作業で消耗する時代は終わり!
業務スピードを爆上げする革新的AI翻訳ツール導入のすすめ

かつて「技術大国」や「ロボット大国」と持てはやされた日本ですが、世界各国がロボット工学やAI研究に力を注ぐ今、もはやそうとは言えなくなりつつあります。

翻訳の分野においても例外ではなく、欧米諸国から大きな遅れを取っているのが現状です。 「日本の企業が世界で対等に戦うには、翻訳業務にAIを活用することが必須」 と語るのは、翻訳業界を知り尽くすロゼッタの執行役員、渡邊麻呂。

AI翻訳の導入でビジネスパフォーマンスはどれぐらい変わるのでしょうか?

渡邊麻呂/株式会社ロゼッタ T-3MT担当
Chief Evangelist Officer 執行役員


大手翻訳会社の代表取締役を10年務めたのち、2016年に翻訳コンサルティング会社を設立。日本翻訳連盟の理事経験もある日本の翻訳業界の第一人者。ロゼッタの経営理念に共感し、2019年11月より現職に。時代を変える異次元のAI翻訳機、T-3MTのエバンジェリストとして精力的に活動を行う。

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欧米より8~12年遅れ!?日本でAI翻訳の導入が進まなかったワケ

――欧米と比べ日本は機械翻訳の導入が遅れていると聞きました。欧米はそんなに進んでいるのでしょうか?

日本ではいまだに「機械翻訳がビジネスに使えるかどうか」という議論がされていますよね。 欧米ではそういった議論はとっくの昔に終わっていて、今はもう当たり前にプロジェクトでAI翻訳を活用してます。さらに、今は翻訳だけではなくプロジェクト全体にAI技術をどう取り入れるかがトレンドになっています。 現在の日本は、アメリカやヨーロッパのちょうど8~12年前の状況なんですよ。

――8~12年前?!それはショックです……。なぜ、技術大国の呼び声が高かった日本で機械翻訳の導入が遅れたのでしょうか?

まずは言語的な問題がありますね。英語などの欧米の言語と日本語は文法構造が全く違うので、機械翻訳に適合させにくかったんです。また、英語は半角のシングルバイト文字、日本語は全角のダブルバイト文字という違いもあります。 そういう言語的な難しさから、日本サイドの翻訳業界が「日本語には機械翻訳はムリ」と思い込んでしまった。 それと、もう一つ……

――なんでしょう?

日本人の国民性もあると思います。 顧客に商品を出すとき、日本では完璧を求めますよね?

――はい。品質にこだわりますよね。クレームも避けたいですし。

でも、考えてみてください。今、世界的な大手企業が出しているOSでも、リリース後にバグを知らせる通知が届いて、後からアップデートするのが一般的になっていまです。そして、私たちもそれを受け入れている。 世界が求めているのは「完璧さ」よりも「スピード」 なのです。品質重視からスピード重視へと意識を変革することが必要なのです。ユーザーは完璧な翻訳よりも、迅速な情報の提供を求めています。品質をキープしたままスピードアップを目指すなら、今の翻訳のワークフローを見直さなくてはいけません。 グローバル市場で戦っていくためには、視点を変えなければなりません。

 

完璧さよりもスピード重視。翻訳のスピードアップが企業利益に貢献する

――翻訳作業をスピードアップするには、どういう点を見直すと良いのでしょう?

例えば、製品開発とマニュアル制作を同時進行していて、マニュアルの翻訳は外注に依頼していたとします。開発中に製品の内容が変わることもあるでしょう。そうすると、それに伴いマニュアル自体を修正しなければなりません。このような変更が重なると、日本の「間違ってはいけない」精神で、マニュアルの翻訳は五校・六校と途方もない校正作業を繰り返して……。

――ものすごく時間と労力がかかりますよね。

冗談のような話ですが、製品は完成しているにも関わらず、マニュアルができていないためにリリースを延期するケースもあるんですよ。スピード勝負の時代で、営業担当者はやきもきすることこの上ない(笑)。 こういう無駄なワークフローは見直すべきです。 欧米では、こうしたマニュアルはAI翻訳を使って内製化しています。

そうした場面において学習機能があり、セキュリティ面においても優れたT-4OOはマーケットに評価されています。

――翻訳の内製化にAI翻訳を使うのですね。

製品マニュアルや医薬品の申請書、特許申請書やIR関連など、ある程度形式が決まっている文書であれば、AI翻訳を利用することで何十倍もスピードが上がります。 医薬品の申請では「1日申請が遅れるだけで1億円損をする」と言われていますから、翻訳のスピードアップが企業利益にどれだけ貢献するかおわかりでしょう。

――とはいえ、機械翻訳でスピードが上がっても、誤訳が多くてビジネスに使えないというような心配はないのでしょうか?

そういう懸念があって、従来通りの翻訳に留まっている企業が多いのかもしれませんが、高性能のAI翻訳を使うことで解決できます。 日本の翻訳を一気に変えてしまうような極めて高い精度のAI翻訳も登場していますよ!

T-3MTで日本の産業翻訳が激変!桁違いの翻訳品質を誇る秘密

――その最たるものが「T-3MT」ですね。今までのAI翻訳とは桁違いの精度だとか?

機械翻訳の品質を計る「BLEU(Bilingual Evaluation Understudy)」という自動評価基準では、Google翻訳などの一般的なニューラル翻訳のスコアは35前後。 それに対し、カスタマイズを施したロゼッタのT-4OOは68、T-3MTは88です。 スコアが60を超えると「人間による翻訳よりも高品質であることが多いレベル」という評価ですから、T-3MTは非常に精度が高いことがわかります。

――とてつもないスコアですね。同じAI翻訳なのにどうしてそんなに差があるのですか?

Google翻訳はジャンルを特定せずに翻訳を行います。つまり、Googleの翻訳機には膨大なデータがごちゃ混ぜに入っているのです。 だから、誤訳や不自然な訳が出てきてしまう。

一方で弊社のT-4OOは、翻訳の文書タイプを2,000のジャンルに分けています。コピー機のマニュアルを翻訳したいなら「マニュアル→複写機」といったように、カテゴリーを細かく指定して翻訳できます。 コピー機のマニュアルに利用される専門用語や必要な表現のみに絞って翻訳するので、他のデータに惑わされないんです。

そのうえT-3MTでは、複写機に続いて、リコーやキャノンといったメーカー別や機種シリーズ別に機械翻訳モデルを生成できます。 同じコピー機でも文書や構成、用語、固有名詞が異なりますが、メーカーやシリーズにまで絞り込むことで翻訳のブレが圧倒的に少なくなるんですよ。

――T-3MTの翻訳品質の秘密は、参照データの精度の高さにあったのですね!

加えて、専門用語や文体を学習させて自由自在にカスタマイズすることもできます。 一昔前なら膨大なお金と時間がかかりましたが、T-3MTでは、500~1,000センテンスのデータさえあれば、カスタマイズから翻訳まで数時間でできてしまう。 マニュアルだと、以前に翻訳したデータをAI翻訳にポンと投入するだけで、次からはそのデータに準じて翻訳したマニュアル文書が出来上がります。

――これは本当に日本の産業翻訳が一気に変わってしまいそうですよね。

私は10年以上前から、さまざまな翻訳業界関係者のセミナーで 「機械翻訳、AI翻訳を取り入れていかなくては、顧客である企業側が先に取り入れてしまいますよ」 と事あるごとに訴え続けています。しかし、「機械に人の代わりは無理」「機械翻訳は利益にならない上に手間がかかる」といった思い込みが根強くあります。

――これから翻訳業界はどのように変わっていくと思われますか?

翻訳に人の手がいらなくなるのではなく、人の役割が変わるんじゃないかと思います。 印刷業界では昔、写真の技術を使って文字を印刷する写植といわれる技術がありましたが、それは現在、InDesignやillustratorといったDTPソフトに変わっていますよね。でも、DTP自体がなくなったわけじゃないですし、ソフトを作りあげるのも人なのです。

翻訳も同じで、機械がする仕事と人がする仕事がはっきりと分かれるのではないでしょうか。 中でも翻訳会社の役割は、ただ翻訳をするだけではなく、取引先企業の利益を目的とした包括的なコンサルティングサービスへと変貌していくと思います。 ここ10年で翻訳業界は大きく変化しましたが、高性能なAI翻訳の登場により、新たな時代へと足を踏み入れることでしょう。 T-3MTで日本の産業翻訳が激変しますよ!

産業翻訳は次のステージへ。人とAIの新しい関係が未来を作る

日本の企業では機械翻訳の導入率がまだ低く、翻訳に膨大なコストをかけてしまっています。 しかし、世界のスピードに対抗するには、翻訳業務の見直しは必須。 産業翻訳の主流がAI翻訳へと移行するのは時間の問題でしょう。

言語的ハンディキャップからの解放を目指すロゼッタが生んだAI翻訳と人の新しい関係が、日本の産業翻訳を次のステージに導きそうです。

筆者・聞き手:林カオリ/ライター・編集者
大手広告制作会社、編集プロダクションにてコピーライター、編集者、記者として活動した後、オーストラリアに渡航。15年間の海外生活中は、日豪両国の媒体にて多彩な執筆活動を行う。2012年に帰国。現在は国際性を生かした海外関連記事を中心に執筆活動を行うとともに、編集・出版の合同会社パブリスプラスの代表として活動する。知的財産管理技能士3級。