翻訳業務は内製か外注か、どちらが得?
メリット・デメリットを徹底比較!

2014年のニューラル翻訳の登場以来、自動翻訳の精度は飛躍的に向上しました。 近年のAI翻訳は、一昔前の統計型翻訳とは比較にならないほどの自然な翻訳が可能になっています。

そのため、自動翻訳を導入して内製化すべきか、それとも従来通り外注すべきか、増え続ける翻訳業務を前にして頭を悩ませている企業は少なくありません。

翻訳業務は内製か外注か、どちらが得なのでしょうか?メリット・デメリットを比較してみます。

翻訳業務を内製化するメリット・デメリット

【翻訳業務を内製化するメリット】

●メリット1:コストを削減できる
自動翻訳を活用して翻訳を内製すれば、外部コストを抑えられます。 途中でプロジェクト変更やテキストの修正·差し替えがあっても追加料金はかからず、予算通りに翻訳プロジェクトを進めることができるでしょう。

●メリット2:コミュニケーションがスムーズに
外注すると、目的の食い違いや誤解により、余計な手間が生じます。それに伴う時間のロスは馬鹿になりません。 翻訳を内製化すれば、社内コミュニケーションが完結するため業務のロスが少なくなります。

●メリット3:知識やノウハウを蓄積できる
翻訳業務を社内で行う過程で新たな知識や独自のノウハウを蓄積することができます。例えば、 商習慣や常識が異なる国を理解しようと努力することで商談がまとまったり、海外進出を目指す商品の欠点などを発見できたり、 翻訳の内製化に多くの学びを得られることでしょう。

●メリット4:情報漏洩を予防できる
翻訳の内製化で漏洩リスクは最小限に抑えられます。 ただし、手軽に利用できる無料の自動翻訳では、データが一時的に外部に保存されるケースが多く、機密情報の管理には不向き。 セキュリティが万全の翻訳ツールを選ぶようにしましょう。

※合わせて読みたい記事:無料自動翻訳サイトは危険?ビジネスで誤解を生まない活用時の注意点

【翻訳業務を内製化するデメリット】

●デメリット1:語学力と文章力に長けた人材の確保が必要
細かいニュアンスを正確に翻訳するには、その言語を熟知し、かつ文章力に優れた人材が求められます。 自動翻訳が示した訳文のチェックやポストエディット業務を担当できる適任の人材がいなければ、それらの部分だけ外部に委託するなど、内製と外注を組み合わせるのが得策でしょう。

●デメリット2:通常業務を圧迫
特に社員数が少ない企業の場合、翻訳業務と通常業務を兼任することで、仕事に影響をきたしてしまいます。あまりに翻訳量が膨大すぎると翻訳全体の進行管理さえままならず、外注時を上回る時間や費用のロスにつながる恐れも。

 

翻訳業務を外注するメリット・デメリット

【翻訳業務を外注するメリット】

●メリット1:クオリティの高い翻訳
適切な表現を使った、読みやすく自然な翻訳が期待できます。 翻訳のチェック体制が整っているため、自動翻訳で起こりがちな誤訳や訳抜け、迷訳も回避。 質の高い翻訳と洗練された文章は、企業の信頼につながり、業績にも良い影響を与えるでしょう。

●メリット2:あらゆる言語・分野に対応
翻訳会社の多くは、あらゆる分野や言語に対応できる人材を豊富に抱えているため、翻訳の内容や対象言語によっては、外注の方が効率的。 また、パンフレットやマニュアルなどのレイアウトにも対応してくれる外注先に依頼すれば、より便利です。

●メリット3:人手不足でも問題なし
翻訳を外注することで、自社の社員たちは通常業務に注力できます。 社内の業務を圧迫することはありません。

【翻訳業務を外注するデメリット】

●デメリット1:コストがかかる
コミュニケーションに時間を要したり、変更や差し替えがあった場合は追加料金が発生したり、どうしてもコストがかかってしまいます。 また、成果にかかわらず契約金を支払わなければならないため、費用対効果が得られないことも。

●デメリット2:業界に詳しいとは限らない
たとえ語学力や文章力に長けていても、業界の専門用語や知識、トレンドに乏しければ、意にそぐわない翻訳ができあがることもあります。

●デメリット3:情報漏洩リスク
第三者に翻訳を依頼すれば、情報漏洩のリスクは高まります。 機密保持の契約を事前に結ぶなど、法的な対策が必要です。

●デメリット4:翻訳結果にばらつき
複数の翻訳者に依頼する場合、翻訳者によって翻訳内容に表現のばらつきが出てしまうことがあります。 翻訳後に表現のばらつきを直したり、再度手を加えるよう依頼したりしなければならないケースも。

内製化のポイントは翻訳ツールの精度の高さ。総合的な費用対効果で判断を

こうして翻訳業務の内製化と外注を比較したとき、企業にとって最も気になるのは「コスト」ではないでしょうか?前述した通り、無料の自動翻訳を導入すれば、金銭的なコストは限りなくゼロに抑えられます。 とはいえ、無料の自動翻訳では、精度やセキュリティに不安があるため、万が一の損失は計り知れません。 このことが内製化に踏み切れない要因のひとつでしょう。

翻訳業務を内製化する際のポイントは、どれだけ精度の高い翻訳ツールを選ぶかにかかっています。 高性能の翻訳ツールを導入すれば、内製化のデメリットを補うことも可能です。

例えば、ロゼッタの「T-4OO」は、自然な文章で専門家の訳文に引けを取らない正確さが特徴。専門用語や対訳なども登録でき、自社の業務にカスタマイズした専門的な翻訳を実現できます。

すべてを内製化するのではなく、ポストエディットの部分は外注に依頼するなど、翻訳の内容や目的によって併用すると、より効率的に翻訳業務をこなすことができるでしょう。

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筆者:大庭有美(オオバ ユミ)/バイリンガル·ライター
オーストラリア·シドニー在住30年。15年に渡りオーストラリアの日系媒体にて編集ライターおよび翻訳·通訳として活動。グルメ、芸能、インタビュー、育児、イベント、スポーツ関連の記事を主に担当している。